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中3、6月で英検®︎準2級合格。10月に2級チャレンジすべき?

※追記しました※

6月の英検で準2級に合格した中3生からこんな相談がありました。

 

「10月の英検で2級にチャレンジしたら合格できる可能性はありますか?」

 

この時期、次の英検受けるべきか否か悩んでいる中3生、多いですよね。特に、大阪府では英検2級を持っていると、「入試の時の英語のテストの8割が保証される」という制度がある為、公立の高校受験を控えている大阪府の中3生にとって「英検2級」はとてつもなく欲しいもの、ですからね。

学校によっては、次の次の英検(1月)の成績も反映してくれる所もあるようですが(2年前(2016年度)は1月の成績を使えた所が実際ありました)、その子の学校では、次の10月の英検の結果までしか考慮してもらえない、と言われているそうで、チャンスは1度きり!なのです。

 

さて、受けるべきでしょうか?そして受かる可能性はあるのでしょうか? 

一般的な話

一般的に、英検準2級と2級の間には大きな隔たりがあり、準2級に合格できたからといって、次、2級にポーンと合格できるようなものではありません。

 最近の英検では「英検バンド」というものがあります。

次の級まであとどれくらいか、を示してくれている指標のようなものです。

 

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こちらの英検バンドの準2級で +5 くらい取れている人は、次のテストで2級に合格する可能性はあると思います。が +3 くらいだと、合格は厳しい。という印象です。 

準2級と2級のテストの比較

準2級 筆記75分/37問 リスニング30問

●短文の語句空所補充問題 20問

●会話文の文空所補充問題 5問

●長文の語句空所補充問題 2題(5問)

●長文内容一致選択問題 2題(7問)

●英作文 50-60語で述べる

●リスニング 30問

 

2級 筆記85分/38問 リスニング30問

●短文の語句空所補充問題 20問

●長文の語句空所補充問題 2題(6問)

●長文内容一致選択問題 3題(12問)

●英作文 80-100語で述べる

●リスニング 30問

 

2級になると、語句の難易度がグッと上がるのが一番のネックです。準2級の問題で使われている単語は3級の単語が結構かぶっており、中学英語で馴染みのあるものがまだ多いのですが、2級になると、中学の英語では「全く見たことのない単語」だらけになります。長文の問題でも、1つ1つの分量が3割増しくらいになっている上に、長文が1個増えますので、読まないといけない文章のボリュームがすごい。初めて2級を受けた子が、筆記試験で精根尽き果て、リスニングでは集中力が残っておらず、全く聞き取れなかったと言っていました。準2級と2級では必要な「テスト中の体力」も全然違うということです。

大阪府の中3生の話

2級は、合格するのが難しい!としても、大阪府の中3生の場合、入試での「点数保証」はどうしても欲しいところ!!チャレンジしとくべきなんじゃないか!!という気持ちになって当然だと思います。

 

2級を受けるか否か!を決定するうえで、自分が受験したい高校がどのレベルの問題を採用しているのか、がとても重要になります。

大阪府の公立高校の入試は3つのレベルに分かれています。

易しい問題→A問題

標準問題→B問題

難しい問題→C問題

A問題を採用している高校はとても少ないので、B問題とC問題を採用している高校で考えてみます。

B問題を採用している高校

こちらの高校の場合、2級にチャレンジするより、普通に受験したほうが良いと思われます。なぜなら、準2級に合格する実力のある人なら、この夏、しっかり受験対策をすれば、入試の問題で8割とれる確率が高いからです。

「2級の勉強をしていれば、自然と受験対策になるんじゃないの?とりあえず2級の勉強をしておいて、落ちたとしてもそれが受験にいきるんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、残念ながら、2級の勉強と、高校受験の勉強は、全く違います。2級は、とにかく中学英語では全く使わない単語や熟語を死ぬほど覚える事、が対策のメインになります。恐ろしい時間を割く必要がありますが、受験では全く必要ない部分です。一方、受験対策は、中学校で出てくる単語のスペルや文法の細かい部分を体に叩き込むというものです。長文読解でも、ただ選択するだけの英検と違い、日本語で表現しなくてはいけませんので、その練習も必要です。

これから10月までの、貴重な2ヶ月を、どちらに費やすかで、秋以降の英語の成績は全く違ったものになる可能性があります。2級を取れれば天国ですが、取れなければ地獄です。

C問題を採用している高校

2級にチャレンジしてみても良いかもしれません。なぜなら、C問題で入試で8割を取るのは非常に困難だからです。C問題では、平均5割くらいしかとれないような難しい問題を採用しています。B問題では長文2題しか出ないのに対してC問題では長文6題。恐ろしい量です。リスニングにいたっては、ただ聞いて選択するだけのB問題とは全く違い、まず英語で二人の討論を聞いて、それをメモっておいて、最終的にどちらかの意見をそのメモを参考にしながら英文で要約再現する。というもの。これは、とても難しい。

英検2級で使う単語達は受験では出ないかもしれませんが、こなさなければならない量に慣れたり、テスト体力を養う上では、英検の勉強が受験に生きてくる可能性はあるでしょう。それでも、2級で覚えないといけない(受験で使わない)単語は膨大で、そこに時間を費やすよりは、C問題の練習をこの夏徹底してやる方が良い、という気もします。英検バンド+3以下の人は、他の教科との兼ね合いも十分検討してから臨んだほうが良いと思います。

 まとめ

今回、「どうしよう?」と相談してくれた生徒さんは、英検バンド+3で、B問題の高校を目指しているので、受けなくても良いんじゃないかな?というお話をしました。最終的には、実際の英検2級の問題と入試のB問題をコピーして渡し、両方のテストの難易度を自分で確かめてもらって、他の教科との兼ね合いも見ながら、じっくり検討してもらいたいと思っています。

その後どうなったか

じっくり検討してもらった結果、「2級は受けず受験勉強に専念する」という事になりました。その生徒さんは、英語が突出して「出来る教科」でしたので、他の教科の強化に力を注ぐことにしたという事です。受験勉強に専念するということでしたので、B問題レベルの問題を夏休みに集中して勉強したところ、夏休み終わりの五木の模試で、英語の偏差値が63に(ビックリ!)。その後も英語のレベルは安定しており、冬休みにB問題の過去問、予想問題を解いてもらうと常に得点率90%以上。英検2級を持っていれば「80%の得点率を保証」になるわけですが、普通にうけて90%以上取れている状態になっているので、2級を持っていなくても全然大丈夫!という状態で受験を迎えました。やはり、B問題の高校を目指しているのであれば、特に2級レベルの高度な英語を勉強しなくても受験は乗り切れる、という気がしております。

無事に、第一希望のB問題の高校に合格し、春から通っております。