must / have to 使い方全容
must と have to の使い方の全容をまとめました。
must と have to の使い方は、まあなんとなくは知っている、という方もぜひ覗いていってください。
- must / have toの意味
- mustの使い分け「必要、義務」か「断定的推量」か?
- 「~にちがいない」の表現
- must / have to「義務、必要」 のニュアンスの違い
- must / have to の否定文の違い
- 過去形
- must have 過去分詞
- まとめ
must / have toの意味
must の意味
must は2つの意味を持っています
①必要、義務(~しなくてはならない)
②断定的な推量(~にちがいない)
二つの意味がありますので文脈で判断して使い分けるんですよね。
You must study hard.
(あなたは一生懸命勉強をしなくてはならない=必要、義務)
You must be rich.
(あなたはお金持ちにちがいない=断定的な推量)
have to の意味
must=have toです。と中学校で習いますが、have to とmust は全て同じようには使えるというわけではありません。意味としては、ほぼ「義務、必要」しかありません。「ほぼ」というのは、have to be の形の時には「断定的推量」の意味で使われることもある、からです。でも、やたらめったら「have to 」を「断定的推量」を表す文で使うってことはないのです。
〇義務、必要
△断定的推量(主にhave to be の形の時)
例)She has to be crazy.
(彼女は頭がおかしいにちがいない=断定的推量)
mustの使い分け「必要、義務」か「断定的推量」か?
さきほど、must の二つの意味は文脈で読み分けると言いましたが、例文みたいな断片的なやつなんてどっちか分かんないじゃん!例えば
He must study hard.
を「彼は一生懸命勉強しなくてはならない=義務、必要」って訳しても良いし「彼は一生懸命勉強するに違いない=断定的推量」って訳してもイイじゃん!テストで後者だけ✖にするなんて酷い!
と怒っている方もいるかもしれませんが、使い分けにはもう少し詳しいルールがあります。
must を「断定的推量」で使う時は
普通、後ろに「状態動詞」がくる
というルールです。そう。have to に引き続き must も、やたらめったら「~にちがいない(断定的推量)」という意味では使えないのですよ。え~~。
なので、いわゆる「動作動詞」を使って「~にちがいない」とは出来ないのです。
※状態動詞=「彼は金持ちだ He is rich.」とか「彼女は背が高い She is tall.」とか状態を表す時に使う動詞です。be 動詞が代表格。
動作動詞=動きを表す時に使う動詞。ほとんどの動詞が動作動詞だよね。
なので
He must study hard.
→study は「動作動詞」なので「断定的推量」のmust と一緒には使えない。
✖「彼は一生懸命勉強するに違いない」
〇「彼は一生懸命勉強しなくてはならない」
となり、テストでは「~に違いない」は✖になるのです。
「~にちがいない」の表現
え!じゃあ、「彼は一生懸命勉強するに違いない」ってどうやって言うのさ!となりますよね。これは、must を使わずに sure を使って表現することになります。
彼は一生懸命勉強するに違いない(と私は確信している)
I am sure that he will study hard.
はい。普通。笑
普通に sure (確信している)という単語を使って表現するのがポピュラーです。
must / have to「義務、必要」 のニュアンスの違い
もちろん、must と have toはニュアンスがちがいます。
must = 話し手が「~しなければ!」と思っている
have to = 周りの事情から客観的に「~せざるを得ない」ことになってる
以前も「助動詞の分析」の記事でお話ししましたが、must は「圧が強い」んだよね。自分の考えを相手に押し付けてる感が出る。だからどうしても命令的になっちゃう。それに対して、have to は客観的なのでソフトに響きます。
「あなたは勉強しなくてはならない」
You must study hard.
話し手が「そうする必要がある」と思っている。その考えをグイグイ押し付ける感じ。
You have to study hard.
もうすぐテストじゃん?成績落ちてきてるじゃん?といった客観的な情報をにおわせ「せざるをえない」感をだす。
※「断定的推量」のニュアンスの違いはどうなんだろう?have to be の形でなら have toも断定的推量としても使われるしね。と思うのですが、それに関して言及されている本や記事には巡り合えていません。予想としては、まあ、やっぱ must 使った方が「圧が強い」んだろうなぁ、と思ってます。
【私の予想】
「彼女は頭がおかしいに違いない」
She must be crazy.
決めつけがすごいイメージj
She has to be crazy.
なんか客観的な情報をゲットしてて、それに基づいて言ってるイメージ
must / have to の否定文の違い
※こちらの項は「助動詞の分析」の記事と同じ内容です
それと、この二つ、否定文になった時は全く違った意味になりますよね。
でも、これも文の構造を考えればとても論理的に理解できます。
must not =~してはいけない
not have to = ~する必要がない
注目はnot の位置です。not は not 以下の部分に作用するという決まりがあります。
must の後に not がある
You must not play the piano.
●not play the piano が must なんですね。「ピアノを弾かない」が must なんです。だから「ピアノを弾いてはいけない」となります。
have to の前にnotがある
You do not have to play the piano.
●have to play the piano が not なんですね。「ピアノを弾かなければならない」がnot なんです。だから「ピアノを弾かなければならないわけではない=ピアノを弾く必要はない」となります。
過去形
must には過去形がありませんので、過去の事を表現したい時は had to で表すんですよね。ニュアンスの違いはどうすんねん?という疑問が残りますが(笑)、そこまで厳密には使い分けされていないようですよ。
否定文については、先ほどの sure のような代替え表現があります。
not have to =~する必要がない
must not= ~してはいけない
で、全く意味が違いますからね!ニュアンスの違いどころじゃないから。
~する必要はなかった
「have to の否定」を過去形にすると
She did not have to study hard.
(彼女は一生懸命勉強する必要はなかった)
となります。
~してはいけなかった
では「彼女は、ピアノを弾いてはいけなかった」というような「過去の禁止」的な表現はどうするのでしょうか?
must には過去形はないけど、「must have 過去分詞」でなんか、過去の表現あったじゃん!とピーンときた方もいると思いますが、「must have 過去分詞」では「過去の禁止」は表せないのです…。「must have 過去分詞」には「~したにちがいない」っていう使い方があるもので…。これを否定文にしても過去の禁止にはならないんだよね。
この「過去の禁止」については、「過去の行為に対する、非難、後悔など」を表す
should have 過去分詞 「~するべきだった、~すればよかったのに」の否定文
should not have 過去分詞「~するべきじゃなかった、~しなければ良かったのに」
が代替え表現として使われることが多いようです。
厳密には違うんじゃ…という思いは残りますが、まあ、近い表現ですよね。
She should not have played the piano.
(彼女はピアノを弾くべきじゃなかった)
≒(彼女はピアノを弾いてはいけなかった)
「弾いてはいけなかったのに弾いちゃった」場合は、まあこの表現で納得なのですが、「弾いてはいけなかったので弾かなかった」場合は、これでは表せない気がしますよね。
そういった場合は allow 「許可する」の否定などで表現してみるといいでしょうね。
She was not allowed to play the piano.
( 彼女はピアノを弾くことを許されていなかった)
≒(彼女はピアノを弾いてはいけなかった)
must have 過去分詞
最後に「 must have 過去分詞」についてです。この形は
「~だったにちがいない(過去のことに対する推量)」
の意味を表すことが出来ます。
そう。このmustに「義務、必要」の意味は含まれていません。「断定的推量」のmust として使える表現です。そして、この意味の使い方にhave to バージョンはありません。
さきほど、mustを「~にちがいない(断定的推量)」の意味で使う時は、「状態動詞」しか後ろにつかないよ、と言っていましたが
「過去の事に対する推量」は、うしろに
「動作動詞」も「状態動詞」も使うことができます!
えーー!もうどっちかにしろよー!!という声が聞こえてきそうですが(笑)
〇Tom must have been rich.
(トムはお金持ちだったに違いない)
〇Tom must have studied hard.
(トムは一生懸命勉強したに違いない)
どちらもオッケーですってこと!
ヤッター!!(^o^)
まとめ
must と have to 結構、奥が深かったですね?
●have to には「断定的推量」の意味はほぼない
●must も「断定的推量」で使える動詞は状態動詞のみ
●must / have to 否定文の意味の違い
●must / have to 過去形(特に否定は注意)
●must have 過去分詞は状態動詞も動作動詞も使える
という辺りを気にしておくと、高校英語の問題に対応できると思います。もちろん、日常会話でもビシッと使い分けた方が、誤解なくスムーズにコミュニケーションできます^^
助動詞に関する過去記事です↓