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「推量」を表す助動詞が多すぎる件:英語

中学校でも「助動詞」(can / will / should など)は習いますが、それは助動詞のほんの一部の使い方を紹介しただけですので、ほとんどの人が、高校に入ると「えぇぇ!!助動詞の意味多くねぇ?!!」といきなりビックリすることになります。はい。本当に助動詞の守備範囲ってすんごく広いです。これを高校1年生の1学期にサラ~っと終わらせちゃうんですから、まあ大変。

 

とても1つの記事で助動詞の話を終わらせることはできませんが、今日は主な助動詞の基本イメージと、「推量」の表現について紹介したいと思います。 

主な助動詞の意味するところ

助動詞は、その名の通り「動詞を助ける」ものです。動詞に、ちょっとしたニュアンスをつけるのが仕事です。

例えば

I study English. 私は英語を勉強する

I must study English. 私は英語を勉強しなければならない

「勉強する」にニュアンスを加えて「勉強しなければならない」となります。

 

まずは主な助動詞(can / may / must / should / will )が文法書で、どのように分類されているか見てみましょう。

 

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沢山の意味するところがありますね。

そして、一つの助動詞に複数意味がある、ということと、 違う助動詞で同じ意味をあらわすものがある、という事が分かりますね。

 

 

特に「推量」!!!

主な助動詞全てに「推量」の意味が含まれます。

これは、人間ってものが、色々な場面で色々な要素を絡めながら「推量」する機会が多いってことだと思います。それぞれの助動詞の基本的なイメージから、少しずつ違う「推量」ができるんですよね。

「一個ありゃイイじゃん!」

と怒らずに(?)、それぞれのイメージを見ていきましょう。

 

それぞれの助動詞の基本イメージと「推量」のイメージ

can

can のイメージ「可能性」が一番強いと思います。内に秘めたる可能性が「能力」「許可」「依頼」そして「推量」の意味に及んでくる感じ。

※1億人の英文法では「潜在」というイメージで載っています

can の推量何かがもともとある可能性によって、こうなるだろうな~」と推量する、感じかな。「こういうこともあり得る」みたいなね。「理論上の可能性を表す推量」とdual scope にはありますね。

 

may

may のイメージは「開かれている」。そちらへの道が開いているので、それが「いいよ~。どうぞ~。」という「許可」のイメージになり、「こういうことがあるかも。」という道が閉ざされていないという「推量」になる感じ。

may の推量「こういうことがあるかも。」という道が閉ざされていない、っていうくらいの推量なので、推量の程度としては「弱い」です。開いてるか、閉まってるか、半々のうちの一つの選択肢なので50%くらいの「推量」です。

 

must

must のイメージは「圧が強い」です。とにかく高圧(笑)。圧が強いニュアンスをもつので「義務・必要」になりますよね。義務って有無をいわさないもんね。高い圧力のまま物事を見通すというのは、話し手は「それ以外は考えられない!」という確信を持って「推量」するということになりますね。

must の推量 強い確信です。もう、これ以外ないかんね!というギュウギュウ押してくるような圧があります。証拠や根拠があります。それがあれば強くでれますもんね。

 

should

should のイメージは 「当然じゃん」だと思います。当然こうするよね?という気持ちから「義務・必要」につながるし、当然こうなるよね?という気持ちから「推量」が生まれていると思います。

※1億人の英文法では「進むべき道(マイルド)」と載っています

should の推量 「当然」と思っているわけですから、結構確信は強いですよね。でもmust ほど圧は強くないのでmust よりは弱い確信をもった推量です。

 

will

will のイメージは 「ピーン!」だと思います。will の1番メジャーな意味は「未来」ですが、これもなにか未来のことについて「ピーン!」ときた時に使います。「習慣、習性、傾向」も「きっとこうなるよね、こういうことだよね」と「必ずおこるだろうね、と予測(ピーンときてる)している」というイメージから派生しているのでしょう。「固執、強い意志」も心の中で「ピーン!」ときちゃってて、もうそこから目を背けられないというか、なかったことに出来ない、という感じだと思います。

※1億人の英文法では「精神力」と載っています

will の推量 「ピーン!」ときてるので推量というか「予測」として扱われたりします。それくらいハッキリ見えちゃってる。must ほどの強さはないけど、should よりはハッキリ見えちゃってる感があるようです。

 

「推量」の使い分け

ここで can / may / must / should / will の推量の使い分けを見てみましょう。

図にしてみるとこんな感じです。

 

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なんとなく、どうやって自分が「推量」しているか、どの程度の気持ちで「推量」しているかによって、助動詞を使い分ける、というシステムは分かっていただけたでしょうか。

 

次に「日本語訳から、どの助動詞にしたらいいのか」を見分けられるのか?を考えてみましょう。

 

どの日本語訳がどの助動詞になるの?

実は、これが厄介。

助動詞には、それぞれにニュアンスがあり、それに応じて使い分ければいいのですが、テキストに出てくる問題文(日本語)を英語にする場合、いったいどんな目線の推量なのか?を推測することが非常に困難な場合が多いです。

 

例えば

トムは今頃はここに来ているはずだ。決して遅刻しないから。

 

これは、どんな「推量」なんでしょうか。

日本語訳では~はずですね。

may では無さそうですね。can でもないかな。あーでも「可能性」の話かも? 「強い確信」にも思えるし「ピーン!ときてる」気もするし「当然の見込み」かもしれないよね。

 

ある文法書には

can ~でありうる、~することがある

must ~であるにちがいない

will きっと~だろう

should ~であるだろう・きっと~だろう

may ~であるかもしれない

 

と説明が書いてありますが、ここに~はず」が無い!!!

これじゃ、選べない。。。

因みにこの問題の解答は should です。

Tom should be here by now. He is never late.

 

でもshould じゃなくても良くない?という思いはぬぐい切れません。

(英語の表現に沢山触れている人なら、日本語からではなく、英語の表現としてshouldがしっくりくるなぁという風になりますけど。)

 

それに、先ほどの文法書の説明、will と should の訳が完全にかぶってる。これじゃ、日本語訳からどちらにしたらいいか選べないじゃないか!

 

この文法書だけでなく、他の文法書やテキスト、問題集を色々持ち寄ると、そりゃーもう、色々な表現があったり、あるべき表現がなかったり、更に大混乱になります。どの訳がどの助動詞になるの?と覚えない方が良いんじゃないかい?と思うほど。

 

ここでハッキリしておきたいのですが、問題集やテストで出る短い文だけで、どの助動詞を使うのか?を判断するのはほぼ無理なのです。なので、もし自分が選んだ助動詞が不正解となっていたら、先生に「自分は強い確信だと思ってmust にしたのですが、それでは✖なんですか?」などと聞いてみてほしいです。問題集の答えなども、正解が1つしか書いていなくて、まるで他の助動詞では代替え不可能です!みたいなていになっていますけど、他の助動詞でも大丈夫な時も多々ありますので、これもぜひ身近にいる先生に「こっちではダメなんですか?」と聞いてみてほしいです。

 

テストのない大人の英語学習者の人は、日本語にとらわれる必要はありませんので、日本語を絡めずに状況で使い分けてみて下さい。

まとめ

助動詞が使えると、表現の幅が広がります。奥行きが出るというか。基本情報だけを口にするロボットから、ちょっとしたニュアンスの違いまで表現し分ける人間に進化する、くらい会話に血が通います。ので、ぜひぜひ使い分けて会話でドンドン使ってみて下さい。テストで点数をとらないといけない学生さんは、ちょっと大変だけど、まずは基本的なイメージを頭に入れて、そこから、テキストなどに出てくる日本語訳との紐づけをしてみて下さい。紐づけの際は、あまりガチガチに覚えず、「このテキストではこの日本語訳なんだな~。」「may はどのテキストも同じ訳になってるな~。」という感じで柔軟にとらえて覚えていきましょう。

 

参考にした文法書

1億人の英文法

Dual Scope