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種をまいておくという考え方

先日、ベテラン先生のティーチングを体験する機会があり感動しておりましたが、その時に先生がおっしゃていた言葉がいまだ心に響き続けております。

 

高校生のレッスンでは、「結構長いパラグラフを丸暗記する」という練習があります。

丸暗記=大変だけど頭に残らない=無駄

という風潮はありますが、何事も一回覚えない事にはどうにもならん、という事実まで無かったことにはできません。暗記するという事を毛嫌いしているばかりでは先に進めないのです。とはいえ、ちゃんと頭に残るようにしてあげたい…!と思うのは切実な講師の願いです。

 

英語で「暗記する」は一般的には learn by heart と言います。なんか、良い響きですよね~。「心で習う」。ただとにかく記憶しろよ!という機械的な響きではありませんね。「心で(体の芯で)覚えておけば、いつでもその情報が引き出せる」という意味が含まれているという気さえしてきます。

 

講師としては、覚える事が山ほどある高校生には、ぜひ learn by heart して欲しいと思うのです。が、現実は「覚えてきなさいねー!来週、テスト!」で終わっちゃう。覚える過程までは手伝えないわけなので、生徒が覚えてくる事を信じて待つだけ。になってしまう事が多いです。でも、やっぱり覚えてこられない生徒さんはいるし、覚えてるけど「これはすぐ忘れるパターンだなぁ。」と費やした時間が空しく感じるような覚え方をしてきている生徒さんも沢山いる。

 

このある種「生徒さん任せ」の暗記の前に、どうやってこのパラグラフを暗記するのか、を丁寧にそして流れるように導入した先生がいました。聞いているこちらは目からウロコのようで「うわぁー!こんな導入が!!」と心の中で叫んだくらい。これは凄い!私もすぐに実践してみたい!と思いました。うまくワークするまで何回も試行錯誤が必要だろうけど、これは絶対生徒さんの役に立つはずだ!と思ったからです。

 

講師目線でみていて本当に素晴らしい指導だったので、他の講師も含め、みんなで拍手したくらいだったのですが、その先生いわく

「こんな風に指導しても、高校生の反応はうすいです。」

えぇぇ!こんなに分かりやすく導入してるのに!?と思わず驚き。

「でも、種をまいている気持ちで毎回生徒にこうやって指導しています。」

 

種をまいている気持ち…。

 

どうしても「今、目の前で起こっている事にばかりフォーカスしてしまう」という講師は多いと思います。「今日のレッスンは盛り上がったな!」とか自分がやり切った事にしか頭が回らないという講師です。自分のレッスンをショーかなにかと勘違いしているのでは?と思う事があります。楽しいレッスンは続けたくなる!ので楽しいレッスンである必要はあります。けど、それだけでは意味がないというのもまた事実。1回1回のレッスンの振り返りすらしない講師よりはずっとマシですが、1回1回のレッスンの完成度だけを求めている講師もまだまだ力不足、ということ。と心から理解しました。

 

私も全くもってまだまだ力不足講師。どうにか生徒さんの実力につなげたい、と指導法を色々考えて試してみるのですが、反応がうすい時や点数に結びついていない時は「うーん。これじゃダメなのかなー。」とまた違う方法を考えたりするの事が常だったので、この「種をまいている気持ちで指導する」という考え方について深く考えさせられました。

 

このやり方で続けていれば、必ずいつか「あ!そういえば先生がこんな風にやってたな。自分もやってみよう。」と心に届く日、花が咲く日がくる、と信じて指導を続けるという事。我慢強く、目の前の生徒さんの無変化ぶりではなくて、その先の変化を見据えて指導を続けるという事。

なかなか出来ない…!

でも、それって本当に大切な事。

 

最近は、毎回のレッスンの振り返りに加え、「今、無意味にみえるこの指導が将来本当に役にたつだろうか」という検証もしながらレッスンにのぞんでいます。例えば、「生徒の分からない所を全部説明せずに文法書を開かせて自分で読んで解決してもらう時間をもつ」とか。夜遅くに「小難しい文法書を読ませる」という事をすると「瞬殺で寝てしまう」という危険がはらんでいる!のだけど、でも、私がいつでもあなたの横でナイスなアドバイスをしてあげられるわけじゃないんだから、自分で解決する術を身に着けてほしい!将来、自分で解決できるようになってほしい!の気持ちで毎回、文法書を開かせている。(で、やっぱり寝られて困る…泣)。間違いなおしの為に返却したプリントには「ここを見てくれ!そして自分で解決してくれ!」と該当の文法書のページ数を書き入れておく。(けど、読まずに勘でなおしているところが多々ある…泣)。

 

生徒さんに「やらされている感」がある間は、こういう講師の「あとで役に立ちそう」というアドバイス的なパスはスルーされる事が多い。ベテラン先生の超役に立ちそうなナイスな指導でさえスルーするんだからねぇ。でも、だからってやめない!って事を心に誓って続けていこうと思います。いちいち、ページ数調べるの、超面倒くさいんだからな!口で教えた方が速いしな!!でも、いつでも「先生にならってれば自動的に文法書を噛み砕いた分かりやすい説明がもらえて1秒で問題解決!」って生徒が思っちゃうってのは、やっぱりちょっと違う。と思うのです。確かに、分かりやすい説明をするのは講師の大切な役割だけど!自分の中で、自分で解決する力を育てる事、も講師の大切な役割だってことを忘れないでおかないと。と思います。

 

さあ、今日も、レッスン頑張ろう。

そして地道に種をまこう。

忘れずに水をやって成長を見守ろう。

大きくなって、今まわりにいる先生やら親やらの大人の手を離れた時にも、自分でやるべき事が分かって、問題解決も出来るっていう風になるように! 

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