English+Japanese

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読了:乳と卵

 

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※ネタバレはありません

図書館で偶然発見。タイトルだけ知っていた本。変わったタイトルの本が芥川賞か直木賞とったんだよね、くらいの認識だったけど折角の出会いなのでお持ち帰り。9年前の本ですね。でも今の私にとってのどストライクのストーリーで、9年前に読むより今読めて良かった!と思えた本。

 

言葉が次から次へと続いていき続いていき続いていき、ホッと一息つく間もなく更に続いていく続いていく続いていく中のリアル。リズムとしては、こんな感じの本でした。本を読んでいるはずなのに、細かく息継ぎをしながらプールを何往復もクロールで泳ぎ続けているような気分になる、そんな文章です。え?なんかしんどそう!と思うかもしれませんが、一つ一つの言葉のチョイス、節々の言い回しの面白さ、笑いの投入具合の絶妙さに引き込まれて、自ら、一息ついてる場合じゃなくて、この言葉の波に乗ってどこまでも流れていきたい、と選択して泳ぎ続ける感じです。特に文の頭とお尻が繋がってない感じ、英語的に考えると有り得ないような、文の流れの中での主語のすり替えというか横滑りが醍醐味!(こういうツラツラ感、もし翻訳されるのならどうやって英訳するんだろう!)

 

文章のリズムが独特というだけじゃなくて、描写の仕方にもいちいち胸を打たれ、クスッと笑ったり、ガハハって笑ったり、あーそれなー!と思ったり、うまいこと言うわーと感心したり、とにかく全く飽きることなく読み終えました。主人公がちょっと一歩引いた感じの切り口で物事を見ているものだから笑っちゃう事が多いのだけど、何だか同時に涙がでちゃうっていう。後半はダダ泣きさせられたのに、その最中にもガハハって笑わされたりして本当にもうさすがの芥川賞です。

 

読み終わってフーっとしている私の横に娘がやってきて「吾郎ちゃんがでてる『本怖』の録画みよう!」って、あっついあっつい夏の午後二時に、ピッタリくっついてきて、手にはリモコン握り締めて「怖いの出てきたらすぐ消したんねん!」とドキドキワクワクした顔で停止ボタンに手をかけながら「ママも見て!これ見て!見てる?なー見てる!?」とワーワー言ってるんだけど、私はそんな娘を見ながら「あー。本の中の母娘とは全然違うわー。」とほのぼのして、でも、ちょっとしたボタンの掛け違いで、いやもしかしたら掛け違えてないのに、自分ではどうにもならん感じになるってあるよな。あるよなーーーーー。と読み終わってからも川上ワールドがから抜け出せずにおりました。しばらくは胸の中に巣くってそうな余韻です。

 

結構短いのですぐに読み終わっちゃったけど、良い時間だった~。

ぜひ読んでみてくださいね。

 

追記 男の人が読んだらどんな感想を持つのかなー?気になる。